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日本人ムスリムたち
ムハンマド杉本さん

 

連載「日本人ムスリムとして生きる」 (1)イスラム教入信編

 

 私は、2009年の4月にインドネシアのバンドンという都市でイスラム教に入信した。

 

その当時、付き合っていた彼女(現在の妻)の家を初めて訪れ婚約した時であった。

 

彼女は、インドネシアの裕福な家庭のお嬢様であった。当然の事ながら、彼女も彼女の両親も、『インドネシアの富裕層は、敬虔なムスリム(イスラム教徒)』という定説通りの家庭であった。

 

彼女の家でくつろいでいると、急に彼女が『今日から、イスラム教徒になってほしい』と言ってきた。

 

当時を振り返ると、急な彼女の申し出でかなり面食らった部分もあった。もちろん、結婚を前提とした付き合いだったから、考えた事が無かったわけではなかった。しかし、自分の予定であと半年~1年先の話だったものを、いきなりだった。しかも、あと2時間くらいで入信の儀式を始めるからそれまでに決めて欲しいとの事。『エッ!!』

 

これには、びっくり!でした。この状況で、今ですか?既に崖っぷち!?( ̄□||||!!

 

色んな思いが、頭の中を駆け巡った。当然、断ればこれまで通りのお付き合いは出来なくなる。また、断るにしては、彼女のことが大事な存在になりすぎていた。

 

30分ほど悩んで、『1年先に予定していた事を、今日からになっただけと気持ちに整理をつけ自分に了承した』ことを今でも覚えている。

 

その事を彼女に告げに行くと、すごく怯えた表情で僕を迎えてくれた事が印象に残っている。まるで、ドナドナの牛や捨てられそうになっている仔犬の様な瞳で僕を見つめてきた。思わず『キュン!』とした。その時になって自分はやっと気づいた。彼女は、僕に捨てられるのではないかと悩んで入信の事をなかなか言い出せなかったということに。先程、一瞬彼女を恨んだ自分を恥じた。僕の言葉を聴いたとたん、すごく明るい表情になって嬉し涙を流していた。本当に不安だった様子が伺えた。

 

その後は、目まぐるしく時間が過ぎた。1時間をかけ入信に必要なアラビア語(シャハダ)の暗記。彼女の親戚との挨拶やイスラム教についてのお話等々。

 

そして、彼女の家に指導者(ウラマ)がこられて式は恙無く終了した。

 

そこから、まだ挨拶をしていない彼女の親戚に握手をして回った。(約70人)この時は、結構大変と思っていたが、のちに行われる結婚式に比べれば可愛らしいものであった。

 

慌しい1日であったが自分にとっては記念すべき日となった事は確かであった。

 

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