第36の伝承

アブー・フライラ―アッラーよ彼を嘉したまえ―の権威によれば、預言者―アッラーよ彼に祝福と平安を与えたまえ―はこう言われたとのことである。

信者からこの世の悩みを一つでもとり除いた者には、アッラーが審判の日の悩みを一つとり除いて下さるだろう。気の毒な人を優しく面倒見た者には1、アッラーが現世と来世で優しく面倒を見て下さる。ムスリムをあつく庇護した者には、アッラーが現世と来世であつい庇護を与えて下さる。アッラーはその下僕が兄弟を助けるかぎり彼に援助の手をさしのべられる。また知識を求めて道を歩む者には、アッラーが平坦な楽園への道を用意して下さる2。アッラーの家の1つに集まってアッラーの書を朗読し3、たがいにそれを学びあう者たちの上には、かならず静けさが訪れ、慈悲が彼らをつつみ、天使たちにとり囲まれた彼らの名は、アッラーが自らの近みにとどめおく者4として読みあげられるであろう。自分の行ないで道5を進めない者は、血筋をもってしても急ぎ行くことはできない。

ムスリムはこの伝承を、このままの形で伝えている。


註:

1 原文は「生活に苦しむ人を楽にしてやる者には」の意。

2 原文は「楽園への道を容易にして下さる」の意。

3 アッラーの家は例えばマスジドを指す。アッラーの書は「クルアーン」のこと。

4 アッラーは気に入られた者を自分の側にとどめおかれる。

5 例えば「楽園への道」。