第27の伝承

アンナウワース・イブン・サムアーン―アッラーよ彼を嘉したまえ―の権威によれば、預言者―アッラーよ彼に祝福と平安を与えたまえ―はこう言われたとのことである。

高潔さは良き徳性である。〔それに引きかえ〕悪事は魂に染み付き、お前は他人にそれを詮索されることを嫌うだろう。

これはムスリムの伝えている伝承である。

他にもワービサ・イブン・マアバド―アッラーよ彼を嘉したまえ―の権威による伝承がある。彼は伝えている。

〔預言者―アッラーよ彼に祝福と平安を与えたまえ―は言われた〕「お前は高潔さについて訊ねるためにやって来たのかね。」私は「はい、その通りです」と答えた。すると預言者は言われた。「自分の心に訊ねてみるがよい。高潔さとは魂が満ち足り、心も満足を覚えるようなものだ。だが悪行は魂にしみつき、他人が繰り返し「お前が法的に正しい」と言ってくれても、胸さわぎを覚えさせずにはいない。1」

これは2人のイマーム、アフマド・イブン・ハンバルとアッダーリミーのムスナド2の中に収められた由緒正しい伝承の鎖3を持つ優れた伝承である。


註:

1 伝承の編者は上記の二つの伝承を一緒に記載しているが、これは両者が主題、文章の点で類似しているためであろう。

2 主題別ではなく、預言者から伝承を伝え聞いた人物別に編まれた伝承集。

3 伝承を聞き伝えた人々の系列をisnad(伝承の鎖)と呼ぶ。たとえばCはBから、BはAから、Aは預言者からかくかくの話しを聞いたとある場合、C・B・Aを伝承の鎖という。これらの人物が宗教心、人格、識見ともに優れていればいるほど、伝承自体の価値も高い。