第6の伝承
バシールの息子、アブー・アブドッラーフ・アンヌアマーン―アッラーよ彼ら両名を嘉したまえ―の権威による。彼は伝えている。
私はアッラーの御使い―アッラーよ彼に祝福と平安を与えたまえ―がこう言われるのを聞いた。
許されたこと1は明らかであり、禁じられたこと2もまた明瞭であるが、その中間には多くの人々が知りえないさまざまな疑わしい事柄がある。したがって疑わしい事柄を避ける者は、自分の宗教、名誉に関して〔過ちから〕免れるが、それに足を踏み入れる者は禁じられた行為を犯すことになる。これはちょうど聖域のまわりで動物を飼う牧童3が、聖域の中で動物に草を食ませる危険を冒すようなものである。まことに王者は誰しも聖域をもっているが、アッラーの聖域とはそのさまざまな禁令である。まことに肉体の中には一片の肉があり、それが健全な場合肉体はすべて健全だが、それが腐ると肉体もすべて腐ってしまう。その〔一片の肉〕とは心のことに他ならない。
この伝承は、アルブハーリーとムスリムの2人が伝えている。
註:
1 原語ハラールとは宗教で許されたこと、許された行為を指す。
2 原語ハラームとは宗教で禁じられたこと、禁じられた行為を指す。
3 聖域中で動物に草を喰ませてはならないが、えてしてその周囲で動物を飼う牧童は知らぬ間にその禁を破ってしまいがちである。