第24の伝承

アブー・ザッル・アルギファーリー―アッラーよ彼を嘉したまえ―の権威による。彼は至大至高の主1が預言者―アッラーよ彼に祝福と平安を与えたまえ―に語られたこととして、預言者からこの伝承2を伝え聞いている。主はこう申された。

わが下僕らよ、私は不正を私自身に禁じ、お前たちの間でも禁じた。それゆえたがいに不正を働いてはならぬ。

わが下僕らよ、私が手ずから導いた者を除いてはすべて迷いの道を行く者である。それゆえ私に導きを求めれば、正しい導きを得られよう。

わが下僕らよ、私が自ら養う者を除いてはすべて飢えに悩む者である。それゆえ私に糧を求めれば、糧食を授かるであろう。

わが下僕らよ、私が衣服を与える者の他はすべて生れたままの裸である。それゆえ私に衣服を求めれば、願いは叶えられよう。

わが下僕らよ、お前たちは昼も夜も罪を犯すが、私はすべての罪の赦し手。それゆえ私に赦しを求めれば、罪も赦されよう。

わが下僕らよ、私を損なおうとしてもそれはかなわぬこと。私のためになろうと努めてもそれもかなわない。

わが下僕らよ、もしもお前たちの最初の者、最後の者、人間やジンがみな、仲間のうちで一番敬虔な心の持主のようであったとしても、それで私の王国に何ひとつ付け加えることはできない。

わが下僕らよ、お前たちの最初の者、最後の者、人間やジンがみな、仲間のうちでもっとも邪悪な者のようであったにしても、それで私の王国から何ひとつ減ずることはできない。

お前たちの最初の者、最後の者、人間やジンがこぞってひと所に立ち、ものをせがみ、私がみなに望みのものを分け与えたとしても、それで私の持ちものが何ひとつ減る訳ではない。減るとしても大洋に針を入れ〔その分だけ水がなくな〕るようなもの3。

わが下僕らよ、私が数えあげるのはお前たちの行ないばかり。いずれそれに相応しい報酬を与えることにしよう。

それゆえ善きこと4を見出す者には、アッラーを讃えさせよ。それ以外のものしか見出せぬ者にはわれとわが身を非難させよ。

これはムスリムの伝えている伝承である。


註:

1 アッラーのこと。

2 この種の伝承はHadith Qudsiつまり聖なる伝承と呼ばれている。これは預言者がアッラーから直接聞いた言葉として伝えているものである。一般の伝承の内容は預言者の言葉であるが、聖なる伝承の内容は必ずしもアッラー自身の語られた言葉そのままである必要はないが、とにかくアッラーのお言葉であるため、一段と価値が高いとされている。ただし「クルアーン」の一部とみなされるようなことはない。

3 全ての被造物に対するアッラーの超越性を示唆している。

4例えば来世における善きこと。